日本の科学者
2023年8月号
日本科学者会議 編
中距離核戦力全廃条約の失効や新戦略兵器削減条約の履行停止,北朝鮮によるミサイル開発,英国の核弾頭保有上限の引き上げ,中国の大陸間弾道弾サイロ建設など,冷戦終結以降の核軍縮の流れが逆転し,さらに相次ぐプーチン政権幹部による核使用威嚇発言,ベラルーシへの戦術核配備など,核兵器が実際に使われてしまう危険が高まっている. 桁違いに甚大な核兵器による直接的な被害に加え,大量に発生する煤が成層圏に到達し,そこに数年間留まって太陽光を遮ることによる「核の冬」により一層甚大化すると40年前から警告されているが,数十億人が餓死しうるリスクの大きさに比して十分な研究が進められ,現時点での予測に応じた備えがなされているとは言い難い.核兵器禁止・廃絶を目指す運動と外交圧力を一層強める必要があることは論を待たないが,核保有国に核軍拡をやめさせ,核兵器を削減させる見通しが立たない以上,被害予測に基づいた適応策すなわち核戦争になった場合への備えを真剣に進めるべきであろう. そこで本特集では,核の冬を含む核戦争のリスクを再評価して核兵器廃絶の運動に寄与するとともに,核戦争にいかに備えるべきかを検討する一助とするため,寄稿頂いた.(「まえがき」より)
判型・頁数 | B5判並製・64ページ |
定価 | 本体800円(税込) |
ISBN | 978-4-7807-2081-5 C0336 |
出版年月日 | 2023年8月1日 |
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