ヒロシマ遡上の旅
父に捧げるレクイエム
川越 厚
被爆二世である著者は、30年あまり在宅ホスピスケアのあるべき姿を追及・牽引してきた医師として知られる。著者にとって、懸案だったヒロシマと向かい合う旅が実現したのは2023年だった。父の足跡をたどるなかで、浮かんでくる風景とは何であったか。ホスピス医ならではの温かくも鋭い感性を背景に、思索を重ねた誠実な魂の記録。
まえがき
Ⅰ
遡上の旅へ 13
旅立ちの朝 17
八月六日の朝、父はいつもヒロシマにいなかった 21
戦地から帰ってきて被曝した陸軍将校 25
初めて参加した平和記念式 33
もう一つの平和記念式 41
Ⅱ
被爆時ピアノを弾いていた父 49
無音のなかでの神の臨在 56
目にした幽霊の行列 62
正視できない死体 70
被曝直後の二人の牧師 77
地獄からの脱出 86
絶望の中の希望 95
Ⅲ
グラウンドゼロ 107
原爆による祖母、叔母、赤ちゃんの死 113
父が会った被爆米兵捕虜 120
被爆死した米兵捕虜のために立てた卒塔婆 128
生存被爆者の苦しみ 136
生存被爆者に対する悲嘆のケア 142
Ⅳ
戦後の政治情勢 153
生存被爆者のこころと平和運動のありよう 161
ベトナム戦争そして安田講堂事件 166
Ⅴ
ヒロシマから発生した平和のベクトル 177
平和への祈り 185
意味の見いだせない原爆死 194
死者の語りかけ 199
旅の終着 206
あとがき
川越厚(かわごえ こう)=在宅ホスピス医のパイオニア。1947年山口県生まれ。東京大学医学部卒業。茨城県立中央病院産婦人科医長、東京大学講師、白十字診療所在宅ホスピス部長、賛育会病院院長を経て、2000年、在宅ケア支援グループ・パリアンを設立し、代表。2021年から在宅ホスピス研究所パリアン(北杜市)代表。森の診療所医師。
『家で死にたい』(保健同人社)、『がん患者の在宅ホスピスケア』(医学書院)、『ひとり、家で穏やかに死ぬ方法』(主婦と生活社)など著書多数。
判型・頁数 | 四六判並製・224頁 |
定価 | 2,100円(税込) |
ISBN | 978-4-7807-2270-3 |
出版年月日 | 2024年12月25日 |
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