亮子よ
佐藤藤三郎
無着成恭「山びこ学校」に学び、その精神を受け継ぎつつ評論家・作家として活動する著者は、2018年、農業や食品をテーマとするエディター・ジャーナリスト・研究者であった娘・亮子を癌で失う。本書は先だった娘への痛哭のオマージュである。「オレはまもなく米寿をむかえる親父だが、お前を眠らせてなどおけない。お前といっしょに生きる。お前といっしょにまだまだしなければいけないことがある。だからお前は眠ってはいけない。生きていろ。眠ってしまっても生きていろ。生きているのだ」(「亮子よ起きろ」)。結びのエッセイは最後の勤務先であった愛媛大学(地域創生研究センター准教授)に残された本2000冊について語られる。大事に保管され、分類作業が行われたことを知って、著者は末尾にこう記す、「〈まちが文化をつくるのではなくて文化がまちをつくるのだ〉といわれた、その精神にうなずかされている。そして、お前が残した本がその一翼になればと願うのだ。そしてそれがお前の命をより価値あるものにするだろう、と考えている」(「〈亮子文庫〉を」)。
亮子よ起きろ
フランスへの旅、由布院での三日間
友をよりどころに
今日のスープ
堂々たる田舎
佐藤亮子略歴
佐藤藤三郎(さとう とうざぶろう)=1935年山形県生まれ。上山農業高校(定時制)卒業。農業問題評論家、作家。山元村立山元中学校在学時に無着成恭の教えをうけ、文集『山びこ学校』(1951年)に生活記録がのる。上山市の青年学級主事、教育委員、農業協同組合理事などを務める。著書に『底流からの証言:日本を考える』『農家のくらし:北国に生きる人びと』『まぼろしの村(全5巻)』『私が農業をやめない理由』『山びこ学校ものがたり:あの頃、こんな教育があった』『ずぶんのあだまで考えろ:私が「山びこ学校」で学んだこと』など。
判型・頁数 | 四六判並製・224頁 |
定価 | 2000円(税込) |
ISBN | 978-4-7807-2216-1 |
出版年月日 | 2022年8月20日 |
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