風の里から
原発事故7年目の死
櫻井 和代
「2021年3月11日、福島第一原発事故から10年目の日、福島の空は穏やかに晴れ渡り、いずれのテレビ局も、10年前の災害特集をセレモニーのごとく流していた。その前日、国連からは、10年前繰り返し流された「ただちに健康に影響はありません」に重なるように、「フクシマ原発事故と健康被害の因果関係はみられない」との声明が出された。その陰で、2018年7月14日、福島第一原発より65キロ離れた風下の里に住んでいたひとりの女性が、きっちり7年後に急性骨髄性白血病を発症、4カ月の闘病の後に死亡していた」「東京で40年間看護師として働き、故郷に戻ってきた彼女は、この地を心ひそかに「風の里」と称し、その日常を日記にしたためた。……この書は、一人の被災当事者の目に映った、「ありのままの記録」である」(「はじめに」より)。
著者は、東日本大震災前夜から2018年まで綴られた日記の叙述をたどりつつ、亡くなった彼女の思いに耳を澄ます。
はじめに ――ただちに健康に影響はありません
序章 「風の里」の四季
第1章 東日本大震災と原発事故(2011年3月)
第2章 続く余震、放射能汚染の不安の中で(2011年4月~12月)
第3章 「忘れたい人」「忘れてほしい人」「忘れない人」
〈1〉 桃の木を切り倒す(2012年)
〈2〉 汚染水はアンダーコントロールされている(2013年)
第4章 風化 ――「そんなこと、あったね」
〈1〉 3年後の「除染」(2014年)
〈2〉 帰還(2015年)
〈3〉 予兆 原発ぶらぶら病(2016年)
〈4〉 「生業訴訟」勝訴(2017年)
第5章 7年目の死(2018年)
死者へのオマージュ ――記憶を伝えていくということ
櫻井 和代(さくらい かずよ)=1950年、福島県生まれ。佛教大学社会福祉学科卒業。著書に『こんにちは。ホームへルパーです』『ホームヘルパーと「訪問介護計画」』『ホームヘルプ労働の自立と未来』『介護保険が「介護」をつぶす』『介護職員研修テキスト』など。
判型・頁数 | 四六判並製・158頁 |
定価 | 1400円(税込) |
ISBN | 978-4-7807-1828-7 |
出版年月日 | 2021年11月6日 |
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