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渡された言葉

わたしの編集手帖から

井上 一夫

「わたしは出版社=岩波書店に在職すること40年、幸いにして多くの魅力的な方々と接する機会を得ました。そして、本づくりの場をともにするなかで、数多くの印象的な言葉を聞きます。……ときにさりげない示唆であったり、ふとしたつぶやきだったりしました。だからこそ、思わずハッとさせられ、自分なりに気づきがあったのです」(「まえがき」より)。
大ベストセラーとなった永六輔『大往生』をはじめ、井波律子『三国志演義』、阿久悠『書き下ろし歌謡曲』、鈴木敏夫『仕事道楽』、高畑勲『漫画映画の志』、山藤章二『似顔絵』など、数々の話題作を手がけた編集者が、本づくりの場で聞き取った言葉をテーマに、交流の日々をエピソード豊かに描き出す。臨場感あふれる筆致のなかに、人と時代の熱気が浮かび上がる連作エッセイ。


「ここまで調べたけれどわからない」 [青木和夫]
「〈友だち〉ではなく〈友人〉だった」 [田中琢・佐原真]


「みんなが反対すれば止めさせられる」 [阿波根昌鴻]
「『大往生』はラジオ本なのだ」 [永六輔]
「工夫すべきことは果てがない」 [六代目嵐芳三郎]
「見えない飢餓にボールをぶつける」 [阿久悠]
「裏日本独立論はありえない」 [古厩忠夫]
「〈越境〉する旅人の歌を追って」 [姜信子]
「どの人の声もその人にしかない響きがある」 [関屋晋]
「写楽が大先輩」 [山藤章二]
「打ち合わせと称する酒席を重ねて」 [矢野誠一]


「雑談のなかから作品は生まれる」 [鈴木敏夫]
「勉強は楽しんでやるものだ」 [井波律子]
「おどおどしながら、退かず」 [小室等]
「だあれがいくさだなんてすもだば」 [伊奈かっぺい]


寧楽の逸民 ― 田中琢さんの身の処し方
わびあいの里 ― 阿波根昌鴻さんの生活と思想
『漫画映画の志』のこと ― 高畑勲さん追悼
『君が戦争を欲しないならば』― 高畑勲さんのブックレットを読む
「伝える」ことを「伝わる」かたちに ― 永六輔さんの語りをめぐって

井上 一夫(いのうえ かずお)=1948年、福井県に生まれ、新潟県・富山県で育つ。1973年、岩波書店入社。長く編集に携わり、同社取締役(営業担当)をへて2013年退任。著書『伝える人、永六輔 『大往生』の日々』(集英社、2019年)。

判型・頁数 四六判並製・224頁
定価 1500円(税込)
ISBN 978-4-7807-1829-4
出版年月日 2021年10月20日

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