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イタイイタイ病発生源対策50年史

畑 明郎

神岡鉱山によるカドミウム汚染は深刻な健康被害「イタイイタイ病」をもたらす。公害裁判として争われ、富山地裁で被害者原告の全面勝訴となったのは1971年、いまから50年前であった(翌72年の名古屋高裁金沢支部控訴審で判決確定)。そしてその後、再汚染防止の発生源対策と汚染された農地土壌の復元が課題となる。著者は大学院学生時代から神岡鉱山への立入調査に参加し、その発生源対策のすべてに関わってきた。本書はその集大成であり、データ・図版・写真・年表等を整備したもっとも信頼できる報告書である。本書刊行の意義について、大阪市立大学名誉教授・宮本憲一氏はこう述べている(本書推薦文)。

「この本は被害者を救済するにとどまらず、公害を絶滅するために企業と苦闘し、住民・研究者を組織して汚染地域の環境再生を成し遂げた科学者の歴史的記録である。世界を驚かせた深刻な四大公害事件の中で、被害者の救済にとどまらずに、半世紀にわたって企業と交渉して、毎年汚染源を調査し、公害対策を改善し、川を正常化し、農地復元までに至る先進的で完璧な公害対策を実現したのはイタイイタイ病事件だけであろう」「この業績をたたえ、日本公害史を飾る力作として推薦したい」。

Ⅰ 神岡鉱山立入調査の開始(1972~73年)〈公害防止協定の締結と立入調査の開始〉
Ⅱ 発生源対策委託研究(1974~78年)〈委託研究の開始〉
Ⅲ 専門立ち入り調査の実施と協力科学者グループの活動(1979~2121年)
Ⅳ 発生源対策の到達点と今後の課題

畑 明郎(はた あきお)=1946年兵庫県加古川市生まれ。京都大学大学院工学研究科金属系学科・博士課程修了。京都市役所勤務をへて、1995年から大阪市立大学(商学部助教授)。公害・環境経済論などの講義科目を担当し、ドイツ・北欧留学後、同大学大学院経営学研究科教授。退職後、滋賀環境問題研究所所長を務める。著書『イタイイタイ病』『金属産業の技術と公害』『土壌・地下水汚染』など。

判型・頁数 A5判並製・280頁
定価 2200円(税込)
ISBN 978-4-7807-1823-2
出版年月日 2021年9月16日

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