わが心、高原にあり
野里 征彦
「ほれ、佳乃も来い。皆で踊んべやー」
耕さんが踊りに加わりながら手招きをすると、佳乃さんも来て加わった。
「十五夜のー、月は出べし山を見上げで、それ踊りゃれー、吾が連れづれー」
「はあー、ダダスコダー、ダダスコダー、ダンダンダダスコ、ダダスコダーダー」
四人は輪になって踊った。
月の光に照らされた高原は、影踏みができそうなほど明るかった。(本文より)
震災後文学に異彩を放つ作品。『民主文学』2020年1月~9月に連載された。第23回長塚節文学賞(2020年)短篇部門大賞受賞作『鱒』を併載する。
わが心、高原にあり
鱒
野里 征彦(のざと いくひこ)=1944年、岩手県陸前高田市生まれ。水産会社勤務をへて、2002年作家活動に入る。大船渡市在住。日本民主主義文学会会員。著書に『プランクトンの夜』『カシオペアの風』『罹災の風景 三陸住民震災日誌』『こつなぎ物語(全3部)』『渚でスローワルツを』など。
判型・頁数 | 四六判並製・242頁 |
定価 | 1400円(税込) |
ISBN | 978-4-7807-1821-8 |
出版年月日 | 2021年7月21日 |
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