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語り継ぐ東京大空襲

―3月10日、夫・子・母を失う― 炎の中、娘は背中で……
[改訂版]

早乙女 勝元

1945年3月10日、B29の編隊が東京下町を無差別爆撃、市街は焦土と化した。10万人あまりの命が奪われた「東京大空襲」である。台東区蔵前に住んでいた鎌田十六さんは猛火の中を逃げまどい、夫と母そして生後七か月の娘を失った。本書はその体験記をもとにしている。初版は2008年、インタビューによる補足を行ない、作家・早乙女勝元さんの解説を加えて刊行された。
「やっと(避難所となった)学校にたどりつきました。入口に一人の保健婦さんがいました。真っ先に背中の子どもの様子をたずねたんです」。しかし、子どもはすでに亡くなっていた。「お地蔵さんのように可愛い顔の鼻にも額にも火傷の跡がいっぱい。……わが子の顔を見つめながら、体をさすっていましたが、なぜか涙は出ませんでした。もう悲しみを通り越していたのだろうと思います」。
鎌田さんは戦後、戦争孤児の母親がわりになって、児童養護施設で70歳まで働く。「自分の子がね。私の代わりに育ててって、言った気がしたの……」。そして2020年11月2日、107歳で死去された。「戦争なんかないほうがいいですよ。戦争ぐらい人の幸せを奪うものはありません」という彼女の声を伝え続けるべく、改訂版として刊行する。

・鎌田十六さん、やすらかに(早乙女勝元)
・3月10日、夫・子・母を失う 炎の中、娘は背中で…… (鎌田十六)
<解説>東京大空襲と鎌田十六さんのこと(早乙女勝元)
東京大空襲・戦災資料センターの紹介

鎌田 十六(かまた とむ)=1913年~2020年。長野県生まれ。戦後は板橋の都立養育院で働き、子どもたちから「お母さん」と呼ばれて慕われた。

早乙女 勝元(さおとめ かつもと)=1932年東京に生まれる。作家。東京大空襲・戦災資料センター名誉館長。著書『東京大空襲』『東京が燃えた日』『早乙女勝元自選集=愛といのちの記録(全12巻)』など。

判型・頁数 A5判ブックレット・48頁
定価 550円(税込)
ISBN 978-4-7807-1992-5
出版年月日 2021年3月10日

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