しのび寄る国家の道徳化
碓井 敏正
自由と多様性を重視する現代市民社会は、グローバル化による国民的アイデンティティの揺らぎのなかで、排外的右派ポピュリズムのような全体主義的政治傾向に対して、抵抗力を欠くところがある。それは個人主義と議会制民主主義が固有の弱点を抱えているからである。
本書出版の主旨は、そのような時代の傾向に対する危機感から、全体主義的復古主義に対抗する新たな戦略を提案するところにある。なお収録した論文の多くは、ここ一~二年の間に各誌に掲載されたものである。
第1章 安倍政権の特異な性格と自民党改憲草案
第2章 復古主義と現実主義のはざま…
第3章 安倍政権の暴走と議会制民主主義の矛盾
第4章 立憲主義だけで闘えるのか─近代個人主義と民主主義の限界を問う
第5章 自民党改憲草案の論理と真の愛国心…
第6章 近代民主主義の矛盾とポピュリズム
第7章 国家と道徳教育─教育支配への対抗軸を考える
第8章 道徳教育の教科化への向き合い方─市民社会論の立場から
碓井 敏正(うすい としまさ)=1946年生まれ。日本の哲学者、京都橘大学名誉教授。近代ヨーロッパ哲学の研究から出発し、現在は規範哲学(正義論や人権論)を専門としている。貧困問題や格差問題に詳しく、近年では社会主義的な立場から成熟社会論を展開し、市民運動や革新組織のあり方についても問題提起をしている。『国境を越える人権』、『グロール・ガバナンスの時代へ』、『格差とイデオロギー』、『成熟社会における人権、道徳、民主主義』『教科化された道徳への向き合い方』など、他多数。
判型・頁数 | A5判・144頁 |
定価 | 本体1200円+税 |
ISBN | 978-4-7807-1961-1 |
出版年月日 | 2020年3月26日 |
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