津波死ゼロの日本を
被災地の復興に学び
岩渕 孝 著
「3.11」津波災害を検証した。おもな生活の舞台は津波危険地帯に広がっていた。防潮堤などの海岸保全施設は防災力を欠いていた。被災地の住民は、そのような検証を踏まえて、海岸保全施設の防災力を強化し、居住地を最大クラスの津波も到達しない高台・内陸に移転させた。復興計画に「津波死ゼロのまちづくり」を掲げる自治体も現れた。そのような津波防災地域づくりが、南海トラフ沿岸地域などにも広がれば、「津波死ゼロの日本」も白昼夢ではなくなるはずである。南海トラフ巨大地震が発生すると、最悪の場合、津波による死者が20万人を超えるとみられている。津波による死亡率が50%を超える自治体も出ると想定されている。津波防災教育は自己責任を強いる避難教育にとどまってはいられない。「津波死ゼロの日本」を展望できる若者を早急に育てたい。そのように考えて、この本を、送り出すことにした。
第1章 「3.11」津波災害を検証する
1.超巨大地震は恐るべき津波災害をもたらした
2.被災地域から見えてくる津波災害のしくみ
3.「3.11」津波災害の貴重な教訓
第2章 被災地で進む津波防災地域づくり
1.国と自治体の津波防災政策・対策の展開
2.被災地に見る津波防災地域づくり
3.被災地で進む「レベルニ」対応の地域づくり
第3章 南海トラフ沿岸地域の津波防災はどこまで
1.想定される南海トラフ巨大地震・津波と津波災害
2.国の南海トラフ巨大地震の津波対策
3.避難困難地域への対策が求められる和歌山県
4.全国最高の津波高が想定された高知県
5.巨大地震・津波対策で先行する静岡県
第4章 科学的な自然災害論を踏まえた津波防災教育を
1.科学的な自然災害論の共有を
2.津波防災の主役を育てる防災教育を
岩渕 孝(いわぶち たかし)=1936年生まれ。元秋田大学教授。地理学・地理教育、環境問題論が専門。
著書:『地球を旅する地理の本(第1巻)』(大月書店、1992年)、『地球を旅する地理の本(第3巻)』(大月書店、1993年)、『現代世界の資源問題入門』(大月書店、1996年)、『環境問題再入門』(地歴社、2005年)、『「有限な地球」で』(新日本出版社、2010年)
判型・頁数 | A5判・248頁 |
定価 | 本体2000円+税 |
ISBN | 978-4-7807-1935-2 |
出版年月日 | 2019年8月29日 |
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