こころの病は人生もよう
統合失調症・ユング・人類精神史
尾関 夢子・尾関 周二
「こころの病、なかでも統合失調症に対する偏見や先入観を取り除いて、共生社会への前進の一石になればという強い思いで本書を著しました」(まえがき)。
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本書は2部構成。第Ⅰ部では統合失調症への偏見の多くは「幻覚や妄想」の理解に関わっているのではないかという問題意識から、「こころ」について生涯にわたって探求し続けたユングに焦点を当てている。また、発達障がい児の教育に携わってきた経験が随所に紹介される(尾関夢子執筆)。そして第Ⅱ部では、「人類にとって<精神(こころ)の病」とはどういうことか」を考える前提として、広く人類の精神史を素描する(尾関周二執筆)。
闊達な語り口のなかに、現代社会の問題が浮き彫りにされる。知的刺激に満ち、示唆に富んだ好著。
まえがき
第Ⅰ部 統合失調症の幻覚・妄想をめぐるユング心理学からの新しい理解
第1章 統合失調症とは、どんなこと?
第2章 無意識の世界
第3章 ユングと幻覚・妄想
第4章 統合失調症・幻覚・妄想についての諸見解
第5章 海外からの実践報告・見解
第6章 生活者としてのまなざし― 環境と疾病
第Ⅱ部 人類の精神史の素描 ―― こころの病に触れて
序 章 「精神」、「心」、「意識」、そして「人類の精神史」という言葉
第1章 生命史における精神の起源
第2章 人類の生活史を踏まえた精神史の素描
第3章 近代文明と三つの革命
あとがき
尾関 夢子(おぜき ゆめこ)=京都市に生まれる。京都大学大学院教育学研究科教育方法学心理学コース修士課程修了。平安女学院短期大学保育科助教授、高千穂大学人間科学部教授などをへて、現在、高千穂大学名誉教授。著書に『どんぐり教室の四季-障害幼児の保育実践と発達の視点』(共著)『教育心理学―教育臨床的アプローチ』など。
尾関 周二(おぜき しゅうじ)=岐阜県に生まれる。京都大学大学院文学研究科博士課程哲学専攻満期退学。社会学博士(一橋大学)。東京農工大学大学院教授をへて、現在、東京農工大学名誉教授。総合人間学会会長、環境思想・教育研究会会長。著書に『多元的共生社会が未来を開く』『環境思想と人間学の革新』『遊びと生活の哲学』など。
判型・頁数 | A5判・216頁 |
定価 | 2000円(税込) |
ISBN | 978-4-7807-1989-5 |
出版年月日 | 2021年3月22日 |
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