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マルクスと21世紀社会

社会主義理論学会 編

カール・マルクスが生を享け、没したのは19世紀のことである。そして、戦争と革命の世紀である20世紀を経て、時代は生態系とテロリズムの危機に満ちた21世紀を進んでいる。果たして人類は22世紀を明るい展望をもって迎えることができるのか。

本書は社会主義理論学会が編集する5冊目の単行本である。書名が示唆するように、マルクスの視点から21世紀社会の構造的特徴はどう理解できるのか、あるいはできないか――本書に収められているいずれの論文も強弱の差はあれ、その点を意識している。それに関して、第一部には理論的考察を主としたものを集め、第二部には社会主義を自称した(している)国々の臨床的観察とみなしうるものを入れた。
当学会が編集した4冊目の『資本主義の限界と社会主義』の刊行は、2012年であった。この間にインターネットの発達に伴うソーシャル・メディアの普及はめざましく、もはや社会インフラとなった感さえある。本書にはそれらについて扱った論文も収められている。また、21世紀は中国の世紀となるかもしれない。当学会は中国のマルクス主義研究者と定期的な交流をもっている。その交流に触発された論文もある。 本書が21世紀社会固有の諸問題を剔抉する一助になることを願っている。

第一部 マルクスと現代資本主義
第一章 『資本論』の株式会社論 社会的所有への過渡といえるか/鎌倉孝夫
第二章 非物質的代謝による生産=情報財の生産について マルクスを現代に、現代を社会主義につなぐ一助に/平松民平
第三章 マルクス主義と民族理論・民族政策/紅林 進 第四章 「成熟社会論」に関する諸論点/大西 広
第五章 子どもが安心してインターネットを使える社会としての民権型社会主義 インターネット上の少女タレント・春名風花とその周辺の観察から/平岡 厚
第六章 原子力発電が内包する不経済と不道徳/森本高央

第二部 現実社会主義の諸問題
第七章 経済システムのトリアーデと社会主義/岩田昌征
第八章 ネップ(NEP)、ノップ(NOP)、ネオネップ(NEONEP) 中国のマルクス主義学者・余斌氏の講演を聞いて/聽濤 弘
第九章 中国経済と国有企業試論 社会主義理論研究の観点から/瀬戸 宏
第十章 現実社会主義をめぐる対話/田上孝一

西川 伸一(にしかわ しんいち)=1961年生まれ。社会主義理論学会共同代表・明治大学政治経済学部教授。政治学専攻。博士(政治学)。

鎌倉 孝夫(かまくら たかお)=1934年生まれ。埼玉大学・東日本国際大学名誉教授。経済学(『資本論』)専攻。経済学博士。

平松 民平(ひらまつ たみへい)=1946年生まれ。T&C 社 エンジニア。

紅林 進(くればやし すすむ)=1950年生まれ。社会主義理論学会委員・フリーライター。

大西 広(おおにし ひろし)=1956年生まれ。慶應義塾大学経済学部教授・北東アジア学会会長・World Association for Political Economy副会長。経済学専攻。経済学博士。

平岡 厚(ひらおか あつし)=1948年生まれ。社会主義理論学会委員・元杏林大学准教授。生化学専攻。理学博士。

森本 高央(もりもと たかお)=1971年生まれ。会社役員。

岩田 昌征(いわた まさゆき)=1938年生まれ。千葉大学名誉教授・セルビア科学芸術アカデミー外国人会員。経済学専攻。経済学博士。

聽濤 弘(きくなみ ひろし)=1935年生まれ。国際問題研究。

瀬戸 宏(せと ひろし)=1952年生まれ。摂南大学外国語学部教授・社会主義理論学会委員。中国現代文学演劇専攻。博士(文学)。

田上 孝一(たがみ こういち)=1967年生まれ。社会主義理論学会事務局長・立正大学人文科学研究所研究員。哲学・倫理学専攻。博士(文学)。

判型・頁数 A5判・256頁
定価 本体2000円+税
ISBN 978-4-7807-1606-1
出版年月日 2017年2月

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